光技術を支える結晶材料 フォトニクスの未来を描く
株式会社オキサイド 会長 古川 保典 氏
レーザーや光通信、センシング、量子技術など、光技術は多くの産業を支える基盤技術として重要性を増している中で、光デバイスの性能を左右する材料技術にも注目が集まっています。単結晶材料を中心に光技術分野で事業を展開するオキサイドの古川保典会長に、光産業における材料技術の役割と今後の展望についてうかがいました。
単結晶からレーザーまで一貫した技術開発

―オキサイドの事業の特徴と強みをどのように位置付けていますか
当社の最大の特徴は、高品質単結晶育成と波長変換という二つのコア技術を軸に、単結晶から光デバイス、レーザーまで一貫して開発・製造・販売ができる点にあります。単結晶を用いて光を制御する技術は幅広い産業で利用されており、最終製品の性能や信頼性は単結晶の品質に大きく依存します。
当社はNIMS 発のスタートアップとして創業し、結晶材料や光学分野の研究者・技術者を中心とする研究開発型企業として成長してきました。国内外の光学関連技術を事業譲受などによって獲得し、改良や発展を重ねながら付加価値の高い製品を事業化してきたことも特徴です。半導体、ヘルスケア、データセンター、量子など、世界的に成長している産業を支える製品を提供しています。
半導体・医療・量子など幅広い分野で活用
―光技術が発展する中で、結晶材料メーカーの役割はどのように重要になっていると考えますか
光技術が高度化・多様化するほど、単結晶の役割は一段と重要になります。例えばレーザーでは高出力化や短波長化、安定性といった性能の向上が求められますが、それを実現するには主要部品である結晶の性能改善が不可欠です。
特に深紫外光の発生や量子の制御といった最先端分野では、材料設計や品質管理を徹底しなければ求められる性能を実現することはできません。単結晶は最終製品の内部に組み込まれるため外からは見えにくい存在ですが、実際には製品の競争力を左右する重要な要素技術だと考えています。
―貴社の結晶材料はどのような分野で活用されていますか。
当社の単結晶は、半導体検査向けの深紫外レーザー、がん診断用PET 装置、量子応用技術、データセンター関連など幅広い分野で活用されています。共通しているのは、高い性能と信頼性が重視される用途であるという点です。
特に半導体分野では微細化が進むほどレーザー光源の短波長化と高出力化が求められますが、それを実現する当社の結晶育成技術が高く評価されています。また、医療や量子といった分野でも、結晶品質という価値は共通して重要な要素となっています。
―量子技術や先端レーザーなど次世代光技術において、材料技術の可能性をどのように見ていますか
量子技術や先端レーザーで共通して求められるのは、光を極めて精密かつ安定に制御することです。その実現には高品質な単結晶が不可欠です。
例えば中性原子方式の量子コンピューターでは、原子の冷却や捕捉、量子ビットの操作などの工程でレーザーが利用されます。こうした用途では短波長で高い出力と安定性を持つ光源が求められます。当社が開発した深紫外レーザーなども、量子分野における重要な光源として期待されています。
―今後の事業展開について教えてください
今後の事業展開においても、高品質単結晶育成技術を基盤に事業領域を広げていきます。材料を提供するだけではなく、技術の垂直統合を進めながら光デバイスやレーザーとして製品の付加価値を高めていく方針です。
また、すべてを自社で完結させるのではなく、用途や分野に応じてパートナーとの役割分担を進めることで、効率的な開発と製品化を進めていきたいと考えています。
光技術は今後、エネルギー、通信、半導体、医療など多くの分野で社会を支える不可欠な技術になっていきます。光技術の「出発点」である材料や光源の分野で価値を発揮し、光産業の発展に貢献していきたいと考えています。

